通訳、翻訳の仕事を10年程やっていますが、通訳はいつになっても慣れません。というよりも、緊張の連続です。通訳業で重要なのは「背景」を理解して日本語に通訳することです。というのも、この背景にも実は二つあり、「文化的な背景」と「パーソナリティの背景」があります。「文化的な背景」に関しては、容易に想像がつく話だと思いますので、「パーソナリティの背景」について少し触れます。パーソナリティの背景理解で苦労するのは、同じ「言語」を使用したとしても、個々人によってその言語に込められたニュアンスが異なります。例えば、普段めったに褒めない方が褒め言葉で「悪くない」と英語で発言した場合、これをそのまま「悪くない」と日本語訳するべきか、「非常に良い」と訳すべきか、はたまた「○は普段あまり辛口ですが悪くないそうです」と訳すべきかこういった選択肢に迫られます。しかも、この選択してからアウトプットまでの短さは0コンマ何秒のスピードで求められ、且つ後戻りが出来ず、即座に次の通訳の準備に入らなければいけません。
文字通りの英語を日本語に通訳するのは、比較的難易度が高くありませんが、目的や相手に応じてパーソナリティに由来する部分をどう伝えるかは非常に難しくも面白い部分です。初対面で、通訳することもありますが、私は時間の限り、極力事前にパーソナリティについての理解を深めることに努めるようにしています。